幻の女。
私と同じタイミングで、
マイ○ビで働いていた25歳の女を引き抜こうとしていた。
合説の主催側で、
学生の誘導がどちゃくそに上手くて美人だったから、「ユーうちの採用担当になっちゃいなよ!」と、ブチョーがナンパしたらしい。
そして、間接的ではあるが採用経験があるため、「主任」という役職をつけて、未経験32歳の私より高い給料で雇おうとしていたらしい。
今考えるととんでもない話だ。
彼女は1月16日入社予定で話が進んでおり、
パーティーが行われた12月16日時点では、
入社する気満々だった。
入社する前の彼女を、
ブチョーはパーティーに呼んで、
会社側の人間として参加させた。
なんだかとにかくムチャクチャなのだが、
それがブチョーのやり方だ。
そのパーティーで、初めて彼女に出会った。
「お会いしたかったですぅ!まさか札幌でお会いできるとは思わなかったですぅ!」
とにかく受付業務だけ済ませて、空港に急ぐ私を彼女が見送ってくれた。
トランクをさっと持ってくれて、なかなかヤリ手の女だと思った。
この女とペアを組めば何とかなるかもしれない。
と思っていた矢先。
年が明けた1月5日。
彼女から突然、
雇用条件や「退職金はいくら貰えるのか」など、
10個ほどの細かい質問メールが届き、
ブチョーと揉めた。
私も手紙を書いたりしたが、
その後連絡が取れなくなり、
入社予定日の1月16日を過ぎてから、
「正式に辞退します」
とのメールが届いた。
こちらからお断りである。
入社準備を進めてくれていた総務部のお局さんの身にもなってほしい。
入社前に退職金の話をする人間にろくな人間はいない。
とにかく、入社してくれなくて良かったー。
そんな、幻の女がいた事を、
ブチョーはとっくに忘れているだろう。
そもそも、きちんと書面を使わず、飲みながら雇用を結ぼうとしたブチョーが悪いけど、
全ては結果オーライである。